首を動かすたびに襟足部分が引っ張られて、ウィッグがずれていく問題、おおよそ解決
寝ても覚めても頭から離れないヘアロスによるウィッグの悩みに寄り添いたい、ウィッグリリアの島袋です。
今回の記事は自分にとっての大スクープでした。いやほんとに大げさでなく。
私たちは、日常的に、とにかくよく首を動かしています。
小銭を落とせば下を向くし、背後から呼びかけられれば振り向きますよね。私たちの日常は「首を動かす日常」でもあります。
その、首を動かす際、一番よく皮膚が伸び縮みする部分ってどこでしょう?
ウィッグが覆っている範囲で一番皮膚が伸び縮みしているのは、襟足部分。うなじを含む、幅10〜12センチほどの範囲です。
皮膚の伸縮にウィッグがついていくことができず、ズレていきやすい部分です。
装着説明のためのイラストの中でも、この件について触れています。
下記の画像、右下の部分です(クリックで大きな画像をご覧になれます)。
ここに、前回の記事の「キズ保護フィルム」を使ってみました。
だいぶ改善することができたように思います。
まずはフィルムがないと、どのようになるのか
比較する対象として、フィルムなしの場合はどうなるのかをまず始めにご覧ください。
ただし、ここでひとつ断りを入れておかないといけません。
私島袋は毎日ウィッグを付け外しするのではなく、一旦装着したら3日間付けっぱなしです。
本当は毎晩取り外して朝に付け直したほうがよいのでしょうが、自分のぐうたら加減や時間、頭皮の状態など諸々を天秤にかけて、「3日間連続装着したら外して別のウィッグを付け、その間、前のウィッグは洗って乾かして手入れして休ませる」という周期にすることを選びました。
アメリカの「ヘア・リプレースメント・システム(注)」について調べ、自分なりに取り入れた結果とも言えます。ウィッグというより特殊メイクに近いものがあります。
注:Hair replacement system。一般には、部分的に髪が薄くなった男性が部分ウィッグを付ける際、該当部分の自毛を完全に剃り落とし、ポリウレタンとレースでできた部分ウィッグを頭皮にぴったり装着、そのまま何週間か過ごし、外した際に頭皮のケア・剃髪・装着を繰り返すシステムのことを指します。男性カツラの世界ではメジャーな方法です。
さて、そんな周期でウィッグ生活をしておりますと、3日目に外す際は、下のイラストのような状態になっています(実物の写真は見苦しいので、イラストにしました)。
何が起きているのかと言いますと、
このため、取り外しの際は余ったテープ部分にくっついたウィッグの毛髪をリムーバーできれいに取り除かねばなりません。これがまた結構な労力と時間を消費します。
この部分に、キズ保護フィルムを導入
前回の記事と同じように、「フィルム → テープ → ウィッグ」の順です。
さて、3日後を見てみましょう。
フィルムを襟足に導入して3日後
だいぶ、「まし」です!
比較してみましょう(と言ってもイラストなので信憑性に欠けるかもしれませんが、実感を表したものだとお考えください。Don’t think, feel.の精神で、どうかお願い申し上げます)。
ズレの差がかなり少なくなったこともそうですが、もうひとつ嬉しいことがありました。
フィルムがしっかりと皮膚にくっついているため、この部分によく生じる「貼り直し」の必要が3日間生じなかったのです。もしかしたらもっと長期間大丈夫かもしれません(あまり長期間に渡ると頭皮の衛生上よくないですし、テープが溶けたようになって剥がすことが非常に困難になりますのでお勧めしません)。
テープは粘着力は強いのですが、弾力性に欠けるせいか、動くたびに皮膚が伸縮するこの部分がよく剥がれるのです。
一度剥がれると粘着力がなくなってしまうため、貼り直しの必要が出てきます。地味に面倒です。
そこを気にせず3日間過ごせたことが、個人的には大きな収穫です。
フィルムの弱点、それは「汗」。
額部分は、貼り替えの必要が出てくるかもしれません。
記事2回分に跨ってキズ保護フィルムの万能さをお伝えしてきましたが、このフィルムにも弱点があります。
それは、内側からの水分、「汗」。
傷口を外側の水分から守る役割があるフィルムですので、まったく水を通しません。
ということは、頭皮の汗もフィルムを通して蒸発することはできないのです。蒸れてきます。
襟足の部分は汗腺がそれほど多い部分ではなさそうでほとんど気になりませんでした。しかし汗腺の多い額部分は、暑い日が続いた三日目に、浮いて剥がれてきました。
ウィッグと仲良く付き合うために
どんな道具も一長一短があるのだな、とウィッグ装着についてこれまで何百回と感じたことを、今回もまた感じざるを得なかったのでした。
今回の件で言えば、おおもとは医療用ウィッグの額部分のかゆみ対策から始まったアイデア&実験でしたので
医療用ウィッグの基本として、額にフィルムとテープを使用しつつ、毎晩取り外して就寝する。というルールを設けることで、かゆみから逃れて蒸れを防ぐことになるのでは、と思います。
私の場合はストラップなしのフルレースウィッグですので
額部分は赤みやかゆみが出ているとき、または予防したいときのみフィルムとテープを使用する。といった事柄を(自分の中で)整理することで、また幸せに一歩近づくのではないかな、という気がします。
襟足部分は積極的にフィルムを導入する
なにしろ、「髪がない」という大きな不便と困難に立ち向かっている我々なわけです。
それぞれの症状も違えばウィッグに期待することも違います。でも、そのひとりひとりが、自由と幸せをウィッグを通して感じられたら、せめてそのお手伝いができたら、と願っています。
人間もウィッグも、なにしろ万能にはなり得ないものです。
工夫と根性で、ウィッグに関する様々な不便を乗り切って、人生を謳歌しようじゃありませんか。